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A Designer's Hand, an Editor's Eye
「花森安治の仕事」展@世田谷美術館(4/9まで開催中)に行ってきた。
『暮らしの手帖』の初代編集長。雑誌の企画編集、取材、執筆、撮影の立ち会いはもちろん、表紙絵やタイトル、誌面のカットを描き、レイアウトも手がけたマルチ・アーティスト。暮らしのあり方を雑誌という媒体を通じて発信し、その思いは一貫して、ぶれることがなかった。
「花森安治の仕事」を見ると、「不世出の編集者」とか「魂の芸術家」とかいった形容が、ちっとも大げさに聞こえない。

朝ドラの『とと姉ちゃん』の人気に追随した企画展かと思っていたけど(それでも構わないのだけど)、そうではなく、2011年から15年頃にかけて、花森が手がけた表紙原画107点や中吊りポスター、新聞広告などの作品が、世田谷美術館に寄贈されたことから水面下で展覧会の企画が進んでいたようだ。

副題は「デザインする手、編集長の眼 A Designer's Hand, an Editor's Eye」。稀代の名編集者の美意識と信念を感じさせる展示内容で、見応えがあった。
創刊号からずらりと並んだ表紙絵からは、毎号毎号新しい創作を楽しんでいるような、自由でのびやかな感性が伝わってくる。毎号の表紙絵のモチーフも画材もいろいろ。タイトルの描き文字も号数を表す書体も統一されていない(流用していない)ことが新鮮だった。手間をいとわず妥協しない仕事ぶりを見て、がつんと一撃をくらったような気持ちになった。

雑誌の内容にも編集長の気負いが感じられる。
「”こうしなければ売れない”といわれることは、どれ一つしない雑誌」を貫いた。読者の暮らしに役立つ真の情報を載せるため、広告を一切取らなかった。その強い信念に感服する。
徹底した商品テストにも「職人魂」を見た思いがした。「火事をテストする」という企画では、テストのために築15年の住宅を購入。ここまでやるんだ!と驚かされた。
「見よぼくら一銭五厘の旗」や「ばくは、もう投票しない」を読むと、花森が全身全霊を傾けて『暮らしの手帖』を出版していたことがひしひしと伝わってくる。改めてすごい人だなあと思う。
「何かを生み出して影響を与えるというのは、こういう仕事なのだよ」、と雲の上の大先輩に教えられた。

「人間の手わざを、封じないようにしたいというのは、つまりは、人間の持っているいろんな感覚を、マヒさせてしまわないように、ひいては、じぶんの身のまわり、人と人とのつながり、世の中のこと、そういったことにも、何が美しいのか、みにくいのか、という美意識をつちかっていくことになるからです」(『暮らしの手帖』1978年52号)

暮らしはますますデジタル化して便利になっていくけれど、人間のもっている感覚をマヒさせないように、手わざを大切にしたいと思う。手間がかかる、効率が悪いといって易きに流れる前に、ちょっと立ち止まり自問するクセをつけよう。それと、こだわらない目で見ることが大事。
【2017/03/19 】 鑑賞するもの | comments(0) | page top↑
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