京都たび 04 【80年前の実験住宅】
今回の京都たびでは、大山崎へも足を伸ばした。
大山崎山荘美術館と、聴竹居(ちょうちくきょ)を見学するために。

聴竹居山腹に建つ聴竹居は、自らが住むことで住まいの研究・検証を試みた建築家・藤井厚二による5回目の実験住宅だ。
1928(昭和3)年の竣工で、建築家は49歳で亡くなるまでの10年間を家族とこの家で過ごしている。

聴竹居の居間に上がったとき、コルビュジエが両親のために建てた「小さな家」を想い出した。居間に続くサンルーム(図面では縁側)の窓のせいだ。
庭に面した三方(総延長10メートル)を美しいプロポーションの透明ガラス窓が囲み、コーナーも透明の嵌め殺し窓で角に柱がないため、戸外の木々が住まいと一体化しているような眺め。木枠を効果的に用いた磨りガラスといい、窓の存在感が際立っていた。

コルビュジエの「小さな家」では、長さ16メートルの建物の壁面11メートルを占める窓が、「この家を構成する基本要素」になっている。連続する窓枠が、眼前に広がるレマン湖の額縁のような役目を果たして、印象的だった。

この2つの家は、「快適に過ごすための実験的住宅」という点でも共通する(コルビュジエにかんしては、床面積60平方メートルの「小さな家」で最大限の実用性と快適性を追求し、30年後に究極の狭小住宅「カップマルタンの休暇小屋」を造った)。建築家自身が家具もデザインしているところや、窓の外に見える大木がモミジとキリで似たような枝ぶり(完全なこじつけ!)というのも、何だか似ている。

気になってちょっと調べてみたら、2人の建築家は1年違いで日本とスイスに生まれ、同時期に活動していた。でも、藤井厚二が欧米の建築を学ぶために渡欧したのは1919年(約9カ月)で、コルビュジエの「小さな家」が完成したのは1924年だから、藤井がスイスで「小さな家」を見ていたわけではない。
これらはわたしの勝手な思い込みで、京都から戻り設計士の夫に聴竹居の写真を見せたら「両者はぜんぜん違う」と言われた。

そもそも聴竹居の見どころは縁側の窓ではない。夏を快適に過ごすための通気設備、動線と視線を考慮した間取り、建築家自身による造りつけ家具や天井灯などの意匠、自然素材の利用、オール電化システムなどの先駆的な試みが、この実験住宅の素晴らしさである。
聴竹居を見学していると、住まいに対する建築家の思いがひしひしと伝わり、こんな家で暮らせたら…とあれこれ妄想がわき出てくるのだった。

※聴竹居の室内見学は事前予約が必要。維持管理・保存にあたっているボランティアスタップの方が、丁寧に説明をしてくださる。
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【2011/12/23 】 旅で得たもの | comments(0) | page top↑
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